酔月亭

日々の投資結果と思いついたことを書くブログです

金融庁の報告書が炎上した理由と万策尽きた感

 この報告書を読んでみましたが、主旨としては「老後の備えを早くからしましょう。貯蓄から投資に回しましょう。そうしないと家計が苦しいですよ」と自助を促す内容で、現状の成年後見制度への不満認知症高齢者の金融資産が2030年には200兆円になるという予測に対して、どんな施策を打てば良いかという言及が少なく、不安を煽るだけに終わっている読後感でした。これではマイナス金利で体力が弱っている金融機関や保険料負担増で可処分所得が低下している個人に責任を押し付けているように読めます。

 つまり「みんな知っていると思うけど日本の人口動態では福祉国家は持続しないし、万策尽きたから個々に頑張って」と言外に示していて、どこか投げやりな印象さえ抱かせる内容だったので炎上しているのだと思います(もちろん麻生大臣の事後対応も影響していますが)。これに対して個人としては淡々と投資をして備えるだけですが、政治に求める事としては長寿リスクへの備え(低年金、資産管理、意思決定支援、身元引き受け人の問題等々)の制度改正の議論を淡々と進めて欲しいのであって、政局を求めているわけではないということを与野党の政治家に言いたいですね。少子高齢社会の論点は、はっきり言って金融庁の所管を超えており、ワーキンググループのメンバーにこの手の問題の専門家が居ないのでこれ以上書きようがないもの理解は出来ます。この手の所管省庁である法務省厚労省国交省が縦割りで対処するのではなく総合的な施策が必要だからこそ、政治がリーダーシップを取ることが大事だと思います。

 

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公開初日に観に行きました。